トレイルランニングでは、ポール(トレッキングストック)を使って走るという方法もあります。特にロングレースや累積標高の大きいレースで取り入れやすい道具です。
一方で、「ポールはどう使えばいいの?」「どんなポールを選べばいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、トレイルラン用ポールの選び方から正しい使い方、おすすめモデルまで詳しく解説します。

トレイルランでポールを使うメリット
脚の筋肉への負担を軽減する
トレイルランニングの登りセクションでは、大腿四頭筋(太ももの前側)に大きな負担がかかります。ポールを使うことで上半身の筋力も推進力として活用でき、脚への負担を腕に分散しやすくなります。なお、25度の下り坂を歩く実験では、ポールを使うと膝関節にかかる力などが12〜25%小さくなったと報告されています(参考:Schwameder et al.「Knee joint forces during downhill walking with hiking poles」Journal of Sports Sciences, 1999)。走る場面のデータではありませんが、ロングレースでは脚を温存できるかどうかが後半の走りに影響します。
登りのスピードアップ
急な登り坂をポールなしで走る(あるいは歩く)場合、脚だけで体を持ち上げる必要があります。ポールを使えば腕の力を使って体を引き上げることができ、登りのスピードが向上します。長い登りセクションでは、ポールをうまく使えるかどうかで進み方に差がつくこともあります。
下りでのバランスと安定性
テクニカルな下りセクション(岩場やぬかるみ)では、ポールがバランス維持の補助になります。転倒リスクを減らし、安全にスピードを出すためのサポートとして機能します。特に疲労した状態でのテクニカルダウンヒルでは、ポールの有無が安全性に直結します。
リズムの安定化
ポールを使うことで、歩行・走行のリズムが安定します。着地したかかとの延長上に反対側のポールを接地することで、一定のリズムで前進しやすくなります。
トレイルラン用ポールの選び方
素材:カーボン vs アルミ
ポールの素材は主にカーボンとアルミの2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
素材別の特徴
カーボン:軽量で剛性が高いです。振動吸収性に優れますが、横からの衝撃で折れやすい面があります。価格は高めです。
アルミ:頑丈で折れにくいです。カーボンに比べて重いですが、曲がっても使い続けられます。価格はリーズナブルです。
軽さ重視ならカーボン、耐久性重視ならアルミがおすすめです。
レースでの軽さを優先したい場合は、まずカーボン製のトレラン用ポールから候補を見ていくと選びやすくなります。
折りたたみ方式:折りたたみ式 vs 伸縮式
トレイルラン用ポールは、主に折りたたみ式(Zフォールド)と伸縮式(テレスコピック)の2タイプがあります。
折りたたみ式:3〜4分割に折りたためるタイプです。収納時にコンパクトになり、ザックに取り付けやすいのが特徴です。展開・収納も素早く行えるため、トレイルランニングでは折りたたみ式が扱いやすいタイプです。
伸縮式:長さを自由に調節できるタイプです。さまざまな斜面の角度に対応しやすいメリットがありますが、折りたたみ式に比べて収納時のサイズが大きく、やや重い傾向があります。
長さの選び方
ポールの長さは、肘を90度に曲げた状態でグリップを握り、先端が地面に着く長さが基準です。身長に応じた目安は以下の通りです。
・身長155〜165cm → ポール長 105〜115cm
・身長165〜175cm → ポール長 115〜125cm
・身長175〜185cm → ポール長 125〜130cm
折りたたみ式は長さが固定されるモデルが多いため、購入前にサイズを確認しましょう。
商品ページには対応身長やポール長がサイズ展開として記載されていることが多いので、上の目安と照らし合わせてから選んでください。
グリップの形状
トレイルラン用ポールのグリップは、登山用のT字型ではなく、I字型のストレートグリップが一般的です。手で握りやすく、ストラップなしでも安定して操作できるデザインが主流です。グリップの素材はフォーム(発泡素材)やコルクが多く、汗をかいても滑りにくいものを選びましょう。
重量
トレイルランでは軽さが重要です。重さはモデルによって差があり、さらに軽さを追求した超軽量モデルもあります。購入前に商品ページで重量を確認しましょう。長いレースほど軽さの恩恵が大きくなるため、予算が許すなら軽量モデルを選びたいところです。

トレイルランでのポールの正しい使い方
登りでの使い方
登りセクションでは、ポールを前方に突いて体を引き上げるようにして使います。基本的な動きは以下の通りです。
1. 右足を出すときに左手のポールを前に突く(対角線の動き)
2. ポールを突いた瞬間に腕で体を押し上げる
3. 歩幅に合わせてリズミカルに繰り返す
急登ではポールを短めに持ち、体の近くに突くことで効率よく力を伝えられます。ポールに体重を預けすぎず、あくまで「補助」として使うのがポイントです。
下りでの使い方
下りではバランス維持とブレーキングの補助としてポールを使います。前方の少し下側にポールを突き、着地の衝撃を分散させるようにします。テクニカルな下り(岩場や段差が多い場所)では、ポールを長めに持って安定感を確保しましょう。
平地での収納
平地やなだらかなセクションでは、ポールは不要な場面も多いです。そのような時は折りたたんでザックに収納しましょう。多くのトレラン用ザックにはポール固定用のバンジーコードやポールクィーバーが装備されているため、走りながらでもスムーズに収納・展開が可能です。
ポールと一緒にザックやシューズなどトレイル用の装備をそろえるなら、ヒマラヤオンラインストアという選択肢もあります。トレイルランニング用のシューズやウェア、バッグ・ポーチ、ソックス・グローブなどのアクセサリーをまとめて探せます。送料は税込550円で、合計税込5,500円以上なら無料です。全国のヒマラヤ店舗での受け取り(送料無料)にも対応しています。詳しくは公式サイトで確認できます。

ダブルポールプッシュ
緩やかな登りやフラットな区間では、両方のポールを同時に前に突いて体を押し出す「ダブルポールプッシュ」も効果的です。クロスカントリースキーに似た動きで、上半身の大きな筋肉を使って推進力を生み出すテクニックです。
大会によってはポールの使用が禁止されている区間があります(特に渋滞が発生しやすい狭いトレイルなど)。大会ルールを事前に確認し、指定された区間ではポールを収納して走りましょう。
おすすめのトレイルラン用ポール
シナノ ロングトレイル 125 BLE
国産ポール専業メーカー・シナノのモデルです。超軽量アルミ素材を採用し、1本約241gという軽さが特徴です(参考:シナノ「ロングトレイル125」)。伸縮式(レバーロック式)で長さ調節が可能なため、さまざまな斜面に対応できます。初心者からベテランまで幅広く使えるトレランポールです。
LEKI(レキ)マイクロトレイル プロ
ドイツの老舗ポールブランド・LEKIのトレイルラン向けモデルです。折りたたみ式で収納性に優れ、カーボン素材による軽量性と剛性のバランスが良いモデルです。
Black Diamond ディスタンスカーボンZ
アメリカの登山ギアブランド・Black Diamondのトレイルラン向けZポールです。カーボン素材で軽量ながら、Zフォールドで素早い展開と収納が可能です。


ポール使用時の注意点とマナー
先端キャップの管理
ポールの先端にはタングステンやカーバイドのチップが付いていますが、ロードセクションや他のランナーのすぐ近くで使用する際は先端キャップ(ゴムキャップ)を装着しましょう。路面を傷つけず、他のランナーに危険を及ぼさないためのマナーです。
ゴムキャップは消耗品で、レース中に外れて紛失することもあります。予備を用意しておくと安心です。ポールのメーカーや先端の形状によって適合が変わるため、対応品かどうかを確認して購入してください。
追い越し・すれ違い時の配慮
ポールを使用中に他のランナーとすれ違ったり追い越したりする際は、ポールを体に引き寄せてスペースを空けましょう。特にシングルトラック(狭い一本道)では、ポールが他のランナーに当たらないよう注意が必要です。
練習で使い慣れてからレースに投入する
ポールは練習で十分に使い慣れてからレースで使用しましょう。いきなり本番で使うと、展開・収納に手間取ったり、使い方が不自然で逆に疲れたりすることがあります。最低でも3〜5回の練習ランでポールを使い、体に動きを覚えさせてからレースに臨みましょう。
ポールに関するQ&A
Q. すべてのトレランレースでポールは使える?
レースによってはポールの使用が禁止されている場合や、特定の区間のみ使用可能な場合があります。エントリー前にレースのルールを確認してください。
Q. ポールなしでも上位を目指せる?
もちろんです。ポールは「あると便利な道具」であり、必須ではありません。走力や脚力が十分にあるランナーはポールなしでも好成績を収めています。ただし、累積標高の大きなレースではポールの恩恵が特に大きくなります。
Q. ポールの先端は尖っていて危なくない?
トレイル上で使う分には問題ありませんが、ロードセクションでは路面を傷つけ、周囲の安全のためにもゴムキャップの装着を心がけてください。大会によってはキャップの装着が義務づけられている場合もあります。
まとめ
トレイルランのポールは、登りでの推進力アップ、脚の負担軽減、下りでのバランス維持など、多くのメリットがあるアイテムです。トレイルラン用には折りたたみ式で軽量なモデルが適しており、素材はカーボン(軽さ重視)かアルミ(耐久性重視)から選びましょう。
正しい使い方を身につけるためには練習が欠かせません。レース前に十分に使い慣れておくことで、本番で最大限の効果を発揮できます。ポールの力を借りて、トレイルランをもっと楽しく、もっと安全に走りましょう。
📦 この記事で紹介した商品
👉 「カーボン製トレイルランポール」を見る
Amazon 楽天
👉 「シナノ ロングトレイル 125」を見る
Amazon 楽天
👉 「LEKI マイクロトレイル プロ」を見る
Amazon 楽天
参考:トレランポールを使って走ろう!選び方のポイントや使い方 – YAMA HACK / トレランポールの使い方・選び方 – シナノ公式 / トレッキングポールを使ってトレイルを走る – Salomon



