ランニングを始めたばかりの方が気になるのが「どのくらいのペースで走ればいいの?」という疑問です。周りのランナーが颯爽と走っている姿を見ると、自分の走りが遅いのではないかと不安になることもあるでしょう。
しかし、初心者にとって最適なペースは「速さ」ではなく「楽に走り続けられる速度」です。速すぎるペースは怪我や挫折の原因になります。
この記事では、ランニング初心者が目安にすべき具体的なペース、ペース設定の考え方、段階的にペースアップしていく方法を詳しく解説します。

初心者が目安にすべきペース
ランニング初心者が意識すべきペースの目安は、1kmあたり7~8分(時速7.5~8.5km程度)です。これは早歩きより少し速い程度のスピードで、隣の人と会話ができるくらいのゆとりあるペースになります。
「ニコニコペース」を意識しよう
スポーツ科学の分野では、笑顔で走れる程度のペースを「ニコニコペース」と呼びます。具体的には、走りながら短い会話ができる程度の強度です。このペースは以下のメリットがあります。
- 有酸素運動の状態を維持でき、脂肪燃焼効率が高い
- 体への負担が少なく、長い時間走り続けられる
- 怪我のリスクが低い
- 走った後の疲労感が適度で、翌日に響きにくい
- 「楽しい」という感覚が残り、継続しやすい
デサントの公式メディアでも、初心者の走るペースは1kmあたり7~8分が目安とされています(参考:デサント公式メディア)。ミズノ公式オンラインでは、このペースを「ニコニコペース」とも呼ばれる、並走しながら会話できる程度の強度と説明しています(参考:ミズノ公式オンライン)。
1kmあたりのペース別の感覚
1kmあたりのペースごとに、体がどのような感覚になるかを整理しました。自分の走りと照らし合わせてみてください。
- 10分/km:早歩きとほぼ同じ速度。ゆったりとしたジョギング
- 8分/km:ゆっくりジョギング。会話が楽にできる
- 7分/km:標準的なジョギング。会話は可能だが少し息が上がる
- 6分/km:やや速いジョギング。会話はしづらくなる
- 5分/km:中級者レベルのランニング。息が弾む
初心者の方は8~10分/kmの範囲からスタートし、体力がついてきたら徐々に7分/km前後を目指すとよいでしょう。
自分が今どのくらいのペースで走っているかは、感覚だけではなかなか分かりません。GPSウォッチを着けておくと、1kmごとのペースがその場で確認できます。

ペースが速すぎるとどうなるか
「せっかく走るなら速く走りたい」と思う気持ちは自然ですが、初心者がオーバーペースで走ると以下のような問題が起こりやすくなります。
体への影響
- 心拍数が上がりすぎて息苦しくなる
- 無酸素運動の状態に入り、長く走れなくなる
- 筋肉や関節への衝撃が大きくなり、怪我のリスクが増す
- 走った後の疲労が大きく、回復に時間がかかる
心理的な影響
- 「こんなにきついなら続けられない」と感じてしまう
- 途中で走れなくなり、挫折感を味わう
- ランニング=苦しいものというイメージが固定される
初心者にとって大切なのは「速く走ること」ではなく「楽しく走り続けること」です。ペースを落とすことは決して後退ではなく、長く走り続けるための賢い選択です。
走っている最中に「はぁはぁ」と口で荒い息をしている、隣の人に話しかけられても返事できない、走り終わった後にぐったりするという場合は、ペースが速すぎます。ペースを落とすか、歩きを入れて調整しましょう。
心拍数でペースを管理する方法
より科学的にペースを管理したい方には、心拍数を基準にする方法がおすすめです。
最大心拍数の計算方法
最大心拍数の簡易的な計算式は「220 – 年齢」です。例えば30歳の方なら、最大心拍数は約190bpmとなります。
初心者の目標心拍ゾーン
初心者がジョギングをする際は、最大心拍数の60~70%の範囲を目標にするのが理想的です。30歳の方であれば、114~133bpm程度です。
この心拍ゾーンは「有酸素ゾーン」とも呼ばれ、比較的楽な強度のため長い時間走り続けやすいのが特徴です。ダイエット目的の方にも取り入れやすいゾーンです。
心拍ゾーンを目安に走るには、走行中の心拍数が見えることが前提になります。心拍計測に対応したモデルなら、腕を見るだけで今のゾーンを確認できます。
心拍数の測り方
心拍数はApple WatchやGarminなどのスマートウォッチで簡単に計測できます。手首の光学式センサーでリアルタイムに心拍数が表示されるため、走りながらペースを調整できます。

ペースを段階的に上げていく方法
基礎体力がついてきたら、少しずつペースを上げていくことでランニングの楽しみが広がります。ただし、急なペースアップは禁物です。
段階1:まず20~30分を止まらず走れるようになる
ペースは1km/8~10分でOKです。途中で歩いても構いません。まずは「走り続ける時間」を伸ばすことに集中しましょう。
段階2:週に1回だけ「少し速い日」を作る
通常のジョギングを続けつつ、週に1回だけ30秒~1分/kmペースを上げた日を設けます。例えば、通常8分/kmなら、この日は7分/kmを目指します。
段階3:インターバルトレーニングを導入する
体力に余裕が出てきたら、速く走る区間とゆっくり走る区間を交互に繰り返す「インターバルトレーニング」を取り入れます。例えば「1分速く走る→2分ゆっくり走る」を5セットといった具合です。心肺機能の向上に効果的です。
段階4:レースペースを意識する
5kmや10kmのレースに出る予定がある方は、目標タイムから逆算してレースペースを算出し、そのペースで走る練習を週に1回取り入れます。例えば5kmを35分で走りたい場合、1kmあたり7分のペースが目標になります。
- 距離とペースを同時に上げない(どちらか一方ずつ)
- 体に違和感があるときはペースを落とす
- 速い日と遅い日のメリハリをつける
- 週の走行回数のうち、8割は「楽なペース」で走る
ペースに影響する外的要因
同じ体力でも、環境やコンディションによってペースは変動します。ペースが落ちたからといって焦る必要はありません。
気温と湿度
気温が高い日はいつもよりペースが遅くなることがあります。暑い日は体温を下げるために体の負担が大きくなり、同じペースでもきつく感じやすくなります。夏場はペースが落ちても気にせず、水分補給を優先しましょう。
風の影響
向かい風がある日はペースが落ち、追い風の日は速くなります。風が強い日はいつもより体感的にきつく感じますが、これは自然なことです。
路面の状態
坂道や未舗装路ではペースが落ちます。上り坂では無理にペースを維持しようとせず、歩幅を小さくしてピッチを維持する走り方に切り替えましょう。
体調とコンディション
睡眠不足、疲労、ストレスなどがあるとペースは落ちます。体調が悪い日は無理をせず、ペースを落とすか思い切って休養することも大切です。

ペースを把握するためのツール
自分のペースを正確に把握するために、以下のツールが役立ちます。
ランニングアプリ
Nike Run Club、Strava、adidas Runningなどの無料アプリは、GPSでリアルタイムのペースを音声で通知してくれる機能があります。1kmごとにペースを読み上げてくれるため、走りながらペース管理ができます。
ペースの読み上げをイヤホンで聞きながら走りたいなら、EarFunの公式オンラインストアも選択肢になります。耳掛け型のOpenJumpやイヤーカフ型のClip 2・Clipといった、耳をふさがないオープンイヤー型があり、こちらの記事で紹介しているモデルは執筆時点で7,990円〜9,990円(税込)、送料無料・18ヶ月保証です。外を走るときは周りの音が聞こえる音量にし、大会によってはイヤホンが禁止の場合もある点にご注意ください。詳しくは公式サイトで確認できます。

音声通知を使うなら、スマートフォンを持って走ることになります。腕に固定できるアームバンドがあれば、ポケットの中で揺れる不快感がなくなります。
GPSランニングウォッチ
手元でリアルタイムにペースを確認できるGPSウォッチは、ペース管理に最適です。Garmin ForerunnerシリーズやApple Watchなどがあります。
トレッドミル
ジムのトレッドミル(ランニングマシン)は速度を設定して走れるため、ペース感覚を養うのに最適なツールです。例えば時速8kmに設定すれば、1km/7.5分のペースで走る感覚をつかめます。
ジムが近くにない場合は、自宅用のルームランナーでも同じことができます。速度を数値で設定できるので、狙ったペースの感覚を体に覚えさせる用途に向いています。
よくある質問(Q&A)
Q. 1kmを10分以上かかるのですが遅すぎますか?
遅すぎることはまったくありません。ランニングにおいて「遅い」というのは相対的な概念です。大切なのは自分のペースで継続することです。続けていれば自然とペースは上がっていきます。
Q. ペースを気にしすぎて走りが楽しくなくなりました
ペースに縛られすぎると走る楽しさが失われてしまいます。たまにはウォッチやアプリを見ずに、景色を楽しみながら「感覚」で走る日を作ることをおすすめします。
Q. 同じペースで走っているのに、以前より楽に感じます。ペースを上げるべきですか?
それは体力が向上している証拠です。ペースを上げるかどうかは目標次第です。現状のペースで健康維持が目的なら無理に上げる必要はありません。タイムを追求したい場合は、段階的にペースアップしていきましょう。
Q. 朝と夜でペースが違うのは普通ですか?
普通です。一般的に、体が温まっている午後~夕方の方がパフォーマンスが高くなりやすいとされています。朝は体が固く心拍数も上がりやすいため、ペースが遅くなることは自然な現象です。
まとめ
ランニング初心者のペースについて、重要なポイントをまとめます。
- 初心者のペース目安は1kmあたり7~8分(会話できる速さ)
- 「ニコニコペース」を意識し、楽しく走ることを優先する
- オーバーペースは怪我と挫折の原因になる
- 心拍数で管理するなら最大心拍数の60~70%を目標にする
- ペースアップは段階的に。距離と同時には上げない
- 気温・風・体調でペースは変動するので一喜一憂しない
ランニングのペースに「正解」はありません。自分が気持ちよく走れて、走り終わった後に「また走りたい」と思えるペースが、今のあなたにとっての最適なペースです。


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