マラソンを走るからには、やっぱり自己ベスト(PB)の更新を狙いたいところです。「練習しているのにタイムが伸びない」「レース後半でいつも失速してしまう」という悩みを抱えているランナーは少なくありません。
PBを更新するには、がむしゃらに走るだけでなく、練習の質と戦略を見直すことが大切です。この記事では、マラソンのPBを更新するために取り入れたい練習法やレース当日の走り方のコツを詳しく紹介していきます。

マラソンのPBを更新するための5つの練習法
PBを更新するには、日々のトレーニングの中身を見直すことが欠かせません。ここでは、タイム短縮に直結する5つの練習法を紹介します。
閾値走(いきちそう)でスピード持久力を鍛える
閾値走は、乳酸が急激にたまり始めるペースで一定時間走り続けるトレーニングです。フルマラソンのレースペースよりやや速い程度のペースで、20〜30分間走ります。
閾値走を定期的に行うことで、体が乳酸を処理する能力が高まり、レース中に失速しにくくなります。週1回取り入れるだけでも効果を感じやすいメニューです。
インターバルトレーニングで最大酸素摂取量を向上させる
インターバルトレーニングは、速いペースで走る区間と回復のジョグを交互に繰り返す練習法です。例えば「1000m×5本(間に400mジョグ)」のようなメニューが代表的です。
このトレーニングにより最大酸素摂取量(VO2max)が向上し、体が酸素を効率よく使えるようになります。レースペースに対する余裕度が増すため、PB更新を狙うランナーには欠かせないメニューです。
ロング走で脚づくりと脂肪活用能力を高める
フルマラソンでPBを更新するためには、レースペースに近いスピードで長い距離を走る「ペース走」と、ゆっくりペースで長く走る「LSD(Long Slow Distance)」を組み合わせることが大切です。
目安としては、レースの3〜4ヶ月前から月に2〜4回、25〜35km程度のロング走を取り入れると良いでしょう。脂肪をエネルギーとして活用する能力が高まり、レース後半のスタミナ切れを防げます。
ペース走で本番の感覚を体に刻み込む
レース本番で走りたいペースを体に覚えさせるトレーニングがペース走です。目標レースペースで10〜15km走るメニューが一般的で、これを繰り返すことで、本番でもペースのブレが小さくなります。
ミズノの公式サイトでも、レースペースを体に刻みつけておくことがペース管理の鍵であると紹介されています(参考:ミズノ公式 マラソンのペース設定)。
つなぎのジョグの質にもこだわる
ポイント練習(閾値走・インターバル・ロング走など)以外の日に行うジョグも大切です。つなぎのジョグはレースペースより1kmあたり60〜90秒ほど遅いペースが適切で、疲労回復を促しつつ走行距離を積み上げる役割があります。
レッドブルのランニング特集でも、レースに向けたトレーニングでは「ロングランは本番ペースより1.5kmあたり約60秒遅いペースで走る」ことが推奨されています(参考:レッドブル マラソンPB更新アドバイス)。

レース当日にPBを出すためのコツ
練習で積み上げた力を本番で発揮するには、レース当日の走り方や準備にもコツがあります。
前半は抑えてイーブンペースを意識する
PBを狙うレースで気をつけたいのが「前半の突っ込みすぎ」です。スタート直後は周囲のペースに流されやすく、気づいたら設定ペースより速く走っていた、ということも起こりえます。
前半は意識的に目標ペースを守り、後半にじわじわとペースを上げていくネガティブスプリット(後半型)の走りが、PB更新には効果的です。
5kmごとのラップで冷静にペースを管理する
ランニングウォッチでペースを確認する際は、1kmごとのラップだけでなく5kmごとのラップタイムでも管理すると、細かなペースの上下に惑わされず冷静な判断ができます。
5km単位の目標ラップタイムを事前に計算しておき、手の甲や腕に書いておくという方法もあります。レース中にすぐ確認できるので、ペースの乱れに早く気づけます。
給水とエネルギー補給のタイミングを決めておく
PBを狙うレースでは、給水所ごとの戦略もあらかじめ決めておくことが大切です。レース前半はこまめに水分を取り、中盤以降はエネルギージェルを計画的に摂取します。
たとえば15〜20km地点と30km地点でジェルを摂取する方法もあります。自分に合ったタイミングを練習で試しておくと安心です。
レース2〜3週間前からテーパリングを行う
テーパリングとは、レース前に練習量を段階的に減らし、疲労を抜いて本番に備える調整法です。テーパリングの研究をまとめたメタ分析では、約2週間かけて練習量を41〜60%減らし、練習の強度と頻度は変えない方法が、記録を伸ばすうえで最も効率がよかったと報告されています(参考:Bosquet L, et al. Med Sci Sports Exerc. 2007(PubMed))。
テーパリングがうまくいくと、レース当日に体が軽く感じられ、練習で積み上げた実力をしっかり発揮できます。

PB更新に向けた練習スケジュール例(週5日)
実際にどのような1週間のスケジュールを組めばよいか、サブ4(4時間切り)を目指すランナー向けの例を紹介します。
| 曜日 | メニュー | 距離・時間の目安 |
|---|---|---|
| 月曜 | 完全休養 | - |
| 火曜 | つなぎのジョグ | 8〜10km |
| 水曜 | インターバル(1000m×5本) | 約10km |
| 木曜 | つなぎのジョグ | 6〜8km |
| 金曜 | 完全休養 | - |
| 土曜 | ペース走 or 閾値走 | 10〜15km |
| 日曜 | ロング走 | 25〜35km |
上記はあくまで一例です。体の状態に合わせて休養日を増やしたり、メニューの強度を調整してください。痛みがある場合は無理に走らないことが大切です。
PB更新を妨げるよくあるNG行動
ここでは、PB更新を妨げやすいNG行動をいくつか紹介します。自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
毎回全力で走ってしまう
すべての練習を全力で走ると、慢性的な疲労が蓄積してパフォーマンスが低下します。練習には「強度が高い日」と「回復に充てる日」のメリハリをつけることが大切です。
走り込みだけに頼っている
月間走行距離を増やすことは大切ですが、距離だけを追い求めると故障のリスクが高まります。補強トレーニング(体幹・股関節まわりの筋トレ)やストレッチも取り入れましょう。
レースでの栄養補給を軽視している
フルマラソンでは大量のエネルギーを消費しますが、体内に蓄えられるグリコーゲンだけではフルマラソンを走り切るには不十分です。不足分をレース中に補給しないと、30km以降で急激にペースが落ちてしまいます。

PBを更新しやすい大会の選び方
大会選びもPB更新には重要な要素です。以下のポイントを参考にしてみてください。
フラットなコースの大会を選ぶ
アップダウンが少ないフラットなコースは、ペースを一定に保ちやすく、タイムが出やすい傾向があります。
気温が10〜15度の時期に開催される大会を狙う
アメリカの7つのマラソン大会の記録と気象データを分析した研究では、暑さの指標(WBGT)が5〜25℃の範囲で高くなるほど記録が遅くなり、その影響は速いランナーより市民ランナーのほうが大きかったと報告されています(参考:Ely MR, et al. Med Sci Sports Exerc. 2007(PubMed))。涼しい秋(10〜11月)や冬(12〜2月)に開催される大会がPB更新を狙いやすい時期です。
参加者が多くペースメーカーがいる大会
ペースメーカーについていくことで、自分でペースを作る負担が減ります。大規模な大会ほどペースメーカーの設定タイムが細かく用意されていることが多いです。
日本国内では、つくばマラソン、さいたまマラソン、大阪マラソン、福岡マラソンなどがフラットで走りやすい大会として知られています(参考:2026秋冬マラソンエントリー情報)。
こうした大会に遠方から参加するなら、当日の移動に余裕を持てるよう前泊を考えるのも一つの方法です。ホテル・旅館の予約サイトYahoo!トラベルでは、ビジネスホテル・カプセルホテル・民宿など宿タイプで絞り込めるため、会場近くの宿を探しやすくなります。予約するとPayPayポイントがたまります。詳しくは公式サイトで確認できます。

よくある質問(Q&A)
Q. PB更新にはどれくらいの期間が必要ですか?
一般的には、しっかりとしたトレーニング計画を立てて3〜4ヶ月取り組むことで、PB更新のチャンスが生まれます。ただし、現在の走力やトレーニング歴によって個人差があります。
Q. 月間走行距離はどれくらい必要ですか?
サブ4を目指すなら月間150〜200km、サブ3.5なら月間200〜250km程度が一つの目安です。ただし、距離だけでなくポイント練習の質も重要です。
Q. 初マラソンでもPBを意識すべきですか?
初マラソンはまず完走することが最優先です。完走タイムが自動的にPBとなるので、まずは「歩かずにゴールすること」を目標に据えるのが良いでしょう。
PB更新に必要なメンタルの整え方
小さな目標を設定して達成感を積み重ねる
いきなり大幅なPB更新を狙うとプレッシャーが大きくなりがちです。まずは30秒〜1分の短縮を目標に設定し、達成できたら次の目標を立てるというステップ方式がおすすめです。小さな成功体験がモチベーションを維持する原動力になります。
練習日誌をつけて成長を可視化する
日々の練習内容、距離、タイム、体調、天候などを記録しておくと、自分の成長を客観的に確認できます。データの積み重ねが自信につながり、レース本番でも「これだけ練習してきた」という心の支えになります。ランニングアプリを活用すると手軽に記録できます。
レースシミュレーションを練習に組み込む
本番と同じ時間帯に起きて食事を取り、ウォーミングアップをしてからペース走を行う「レースシミュレーション」を月に1回程度取り入れると、当日の流れに体が慣れます。本番での不安が軽減され、力を発揮しやすくなります。
Q. PB更新に効果的なクロストレーニングはありますか?
水泳やサイクリングは、ランニングの疲労を蓄積させずに有酸素能力を高められるクロストレーニングとしておすすめです。週1回程度取り入れると、ランニングだけでは鍛えにくい筋肉も使えるため、バランスの良い体づくりにつながります。
まとめ
マラソンのPBを更新するには、閾値走・インターバル・ロング走・ペース走といった目的の異なるトレーニングをバランスよく取り入れることが大切です。さらに、レース当日の前半の入り方やテーパリング、大会選びといった戦略面も結果を大きく左右します。
焦らず着実に準備を重ねて、自己ベスト更新の喜びを味わいましょう。
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