LSD(Long Slow Distance)は、ランニングのトレーニング法の中でも特に持久力の土台づくりに効果的な練習メニューです。名前のとおり「長い距離をゆっくり走る」という内容で、息が上がらない楽なペースで長時間走り続けます。
マラソン完走を目指す初心者から、記録更新を狙う上級者まで、幅広いレベルのランナーが取り入れているLSDトレーニング。この記事では、LSDの効果・正しいやり方・ペースや時間の設定方法を詳しく解説します。

LSDトレーニングとは?
LSDは「Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)」の略で、長い時間をゆっくりとしたペースで走り続けるトレーニング方法です。速さではなく「時間」を重視するのが特徴で、会話ができる程度の楽なペースで90〜180分ほど走ります。
スピード練習やインターバル走のような強度の高いトレーニングとは正反対のアプローチですが、マラソンの基礎体力を作る上では欠かせない練習です。
LSDトレーニングで得られる4つの効果
1. 心肺機能の向上
ゆっくりとしたペースでも長時間走り続けることで、心臓や肺に継続的な負荷がかかります。心臓のポンプ機能が向上し、1回の拍動で送り出せる血液量が増えるため、安静時の心拍数が下がっていきます。結果的に、同じペースでの心拍数が低くなり、楽に走れるようになります。
2. 脂肪燃焼能力の向上
LSDのようなゆっくりペースの運動では、エネルギー源として脂肪が多く使われます。LSDを繰り返すことで体が脂肪をエネルギーに変換する能力が高まり、マラソン後半でのエネルギー切れ(いわゆる「30kmの壁」)を防ぐ効果が期待できます。
3. 毛細血管の発達
長時間の有酸素運動によって、筋肉内の毛細血管が発達します。毛細血管が増えると筋肉への酸素供給が効率的になり、疲労しにくい体になります。これはランニングエコノミーの向上にもつながります。
4. メンタルの強化
2〜3時間走り続けることは、精神的にもチャレンジです。LSDを継続することで「長時間走り続ける」ことへの耐性がつき、マラソン本番での精神的な余裕につながります。
LSDは「速く走る力」ではなく「長く走れる体の土台」を作るトレーニングです。マラソンの基盤となるスタミナを養うのに欠かせません。
LSDトレーニングのやり方
ペースの目安
LSDのペースは1kmあたり7分〜8分が一般的な目安です。フルマラソンのレースペースよりも1分30秒〜2分以上遅いペースで走ります。心拍数で管理する場合は、最大心拍数の60〜70%を目標にしましょう。
ペースの体感としては「隣の人と普通に会話ができる」「鼻呼吸だけで走れる」くらいの楽さです。息が上がってきたらペースが速すぎるサインなので、遠慮なくペースを落としてください。
感覚だけでゆっくり走り続けるのは意外と難しいものです。心拍数を表示できるウォッチがあれば、ゾーンを外れた時点で気づけるので、LSDのペース管理がしやすくなります。
時間の目安
- 初心者:60〜90分(まずは60分を目標に)
- 中級者:90〜120分
- 上級者(マラソン記録更新狙い):120〜180分
LSDは距離ではなく「時間」で管理するのが基本です。ゆっくりなので距離はそこまで伸びませんが、時間をかけることが目的なので問題ありません。
実施の手順
1. ウォーミングアップとして5〜10分のウォーキングまたはゆっくりジョグ
2. 設定ペース(7〜8分/km)でLSD開始
3. 途中で水分補給(30分ごとに給水を目安に)
4. 設定時間を走り切ったらクールダウンジョグ5〜10分
5. ストレッチで体をほぐす
90分以上走るとなると、途中の給水をコンビニ頼みにするのは心もとないところです。握って走れるハンドボトルがあれば、自分のタイミングで水分を口に運べます。

LSDトレーニングの頻度と練習計画への組み込み方
LSDは週1回、休日などまとまった時間が取れる日に行うのが一般的です。週間スケジュールの中では「ロング走」の位置づけで、他のポイント練習とは別の日に設定しましょう。
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ(30〜40分)
- 水曜:ペース走やインターバル走
- 木曜:ジョグまたは休養
- 金曜:ジョグ(30〜40分)
- 土曜:LSD(90〜120分)
- 日曜:休養
LSDの翌日は完全休養か軽いウォーキング程度にとどめ、体をしっかり回復させましょう。
LSDトレーニングの注意点
LSDで効果を出すために、以下の点を守りましょう。
- ペースを上げすぎない(レースペースより1分30秒以上遅く)
- 水分補給をこまめに行う(特に夏場は脱水に注意)
- 長時間のため、栄養補給ジェルやアメを持参すると安心
- 暑い時期は朝の涼しい時間帯に実施する
- 膝や足首に違和感を感じたら無理せず中断する
補給食はポケットに入るサイズのジェルが手軽です。長い時間走る日は2本ほど持っておくと、途中で足が止まりにくくなります。
LSDは「ゆっくり走る」ことが前提ですが、長時間走るため体への総負荷は決して小さくありません。体調管理と補給をしっかり行うことが、安全にLSDを続けるコツです。
LSDを飽きずに続けるコツ
2〜3時間同じペースで走り続けるのは、体力的にも精神的にもハードです。以下の工夫でLSDを楽しく続けましょう。
- コースを変える:毎回違うルートを走ることで新鮮さを保てる
- 仲間と一緒に走る:おしゃべりしながら走るのがLSDの理想ペース
- 音楽やポッドキャストを聴く:長時間を退屈せずに過ごせる
- ご褒美を設定する:「LSDの後はお気に入りのカフェでランチ」など
音を聴きながら走るなら、耳をふさがない骨伝導タイプなら周囲の音も入ってくるため、交通のある道でも使いやすいと選ばれています。

LSDトレーニングの効果が出るまでの期間
LSDトレーニングの効果が実感できるまでの期間は、4〜8週間ほどが目安です。最初のうちは60分走るのもきつく感じるかもしれませんが、3〜4回繰り返すうちに体が長時間の運動に慣れてきます。
1ヶ月ほど続けると、同じペースでの心拍数が下がってきたり、普段のジョギングが楽に感じられるようになったりする変化が現れます。2ヶ月以上続けると、レースでの後半の粘りが明らかに違ってくるのを実感できるでしょう。
大切なのは週1回のLSDをコツコツと継続することです。1回だけ長く走っても効果は限定的ですが、毎週積み重ねることで確実にスタミナの土台が築かれていきます。
毎週2時間近く走るとなると、足元にかかる総距離もそれなりの量になります。LSD用にクッション性を重視した1足を別に用意して、レース用と履き分けているランナーもいます。
よくある質問(Q&A)
Q. LSDは初心者でもやるべきですか?
30分程度連続して走れるようになったら、LSDを取り入れてみましょう。最初は60分を目標に、慣れてきたら90分、120分と徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。
Q. LSDのペースが速くなりがちです。対策はありますか?
心拍数モニター付きのGPSウォッチで心拍を管理するのが効果的です。心拍数が上がりすぎたらペースを落とす、というルールで走ると自然とゆっくりのペースを維持できます。
Q. LSDだけでマラソンを走れるようになりますか?
LSDだけでも完走は可能ですが、タイムを狙うならペース走やインターバル走などのスピード練習も組み合わせたほうが効果的です。LSDはあくまで「スタミナの土台づくり」と位置づけましょう。
Q. LSDの途中で歩いてもいいですか?
はい、疲れたら歩いても構いません。特に初心者のうちは「走る→歩く→走る」を繰り返しながら、トータルの運動時間を確保することが大切です。慣れてきたら歩く回数を減らしていきましょう。
まとめ
LSDトレーニングは、ゆっくりとしたペースで長時間走ることで、心肺機能・脂肪燃焼能力・毛細血管の発達など、マラソンに必要な持久力の土台を築けるトレーニングです。
ペースは7〜8分/km、時間は60〜180分を目安に、週1回取り入れましょう。「遅すぎるかな」と思うくらいのペースがLSDの適正ペースです。ペースを上げすぎず、水分・栄養補給を忘れずに行い、安全にLSDを楽しんでください。
参考リンク:

