フルマラソンを完走した後、「もっと長い距離に挑戦してみたい」と思ったことはありませんか。ウルトラマラソンはフルマラソン(42.195km)を超える距離を走る大会の総称で、60km、100km、さらには200kmを超えるレースまで存在します。
「自分に走れるのか」と不安に思う方もいるかもしれませんが、正しい準備と練習を積めば、フルマラソン完走経験者なら十分にチャレンジできます。この記事では、ウルトラマラソンの始め方から練習法、完走のコツまで初心者向けに詳しく解説します。

ウルトラマラソンとは?距離と種類を知ろう
ウルトラマラソンにはさまざまな種類があり、自分に合ったカテゴリを選ぶことが大切です。
距離別の大会カテゴリ
ウルトラマラソンの大会は、主に以下のような距離カテゴリに分かれています。
| カテゴリ | 距離 | 初心者向け度 |
|---|---|---|
| ショートウルトラ | 50〜60km | 入門に最適 |
| 100km | 100km | 本格的な挑戦 |
| 時間走 | 6時間走・12時間走・24時間走 | 初心者にもおすすめ |
| ロングウルトラ | 100マイル(約161km)以上 | 上級者向け |
初めてウルトラマラソンに挑戦するなら、50〜60kmの部門がある大会や、時間走(決められた時間内にどれだけ走れるかを競う形式)からスタートするのがおすすめです。時間走は自分のペースで走れるうえ、途中で止まっても問題ないため、初心者でも気軽にエントリーできます。
ロードとトレイルの違い
ウルトラマラソンには舗装路(ロード)を走る大会と、山道(トレイル)を走る大会があります。初心者はまずロードの大会から始めるのが安全です。トレイルは装備や山の知識も必要になるため、ロードのウルトラを経験してからの挑戦がおすすめです。

ウルトラマラソンに向けた練習法
ウルトラマラソンの練習は、フルマラソンの延長線上にありますが、いくつか重視すべきポイントが異なります。
ロング走の頻度と距離を増やす
ウルトラマラソン完走の要となるのがロング走です。月に2〜4回、26〜40km程度のロング走を取り入れることで、長時間走り続ける筋持久力が養われます(参考:小谷修平のランニング講座 ウルトラマラソンの練習法)。
ただし、最初から長い距離を走る必要はありません。現在のロング走が20km程度なら、まずは25km、次に30kmと段階的に延ばしていきましょう。
ゆっくりペースで長時間走る練習を重視する
ウルトラマラソンではスピードよりも長時間動き続ける持久力が求められます。レースペースは1kmあたり7〜8分程度と、フルマラソンよりかなりゆっくりです。
練習でも「速く走る」ことよりも「長い時間、体を動かし続ける」ことを意識しましょう。3〜4時間のLSD(Long Slow Distance)が効果的です。
歩きを組み合わせたトレーニング
ウルトラマラソンでは、戦略的に歩きを取り入れることが完走の鍵です。走りと歩きを交互に行う「ラン&ウォーク」を練習から取り入れておくと、本番でも自然に切り替えられます。
例えば「25分走って5分歩く」というパターンを繰り返すことで、脚の疲労を分散させながら長い距離をカバーできます。
月間走行距離の目安
100kmウルトラマラソンに向けた練習では、月間走行距離として250〜350km程度をひとつの目標にする方法もあります。ただし、いきなりこの距離を走ると故障のリスクが高まるため、段階的に増やしていくことが大切です。
夜間走やナイトランの練習
100kmの大会では早朝スタートで夜まで走り続けるケースが多く、暗い中を走る場面も出てきます。ヘッドライトを装着しての夜間ランを事前に経験しておくと、本番での不安が軽減されます。

初心者におすすめのウルトラマラソン大会の選び方
初めてのウルトラマラソンでは、大会選びが非常に重要です。以下のポイントを参考にしてみてください。
制限時間に余裕がある大会を選ぶ
初心者は制限時間が長い大会を選びましょう。100kmなら制限時間14時間以上、50kmなら制限時間8時間以上の大会が安心です。
エイドステーション(補給所)が充実している大会
ウルトラマラソンではエイドの充実度が完走に大きく影響します。5〜10kmごとにエイドがあり、食事やドリンクが豊富な大会を選ぶと初心者でも安心です。
フラットなコースの大会から始める
アップダウンの激しいコースは脚への負担が大きいため、初めてのウルトラはフラットなコースの大会がおすすめです(参考:ウルトラマラソン初心者におすすめの大会)。
日本国内では、サロマ湖100kmウルトラマラソンや四万十川ウルトラマラソンなどの大会があります。エイドの間隔やコースの高低差は、各大会の公式サイトで確認しておきましょう。
ウルトラマラソンに必要な装備と持ち物
ウルトラマラソンはフルマラソンよりも装備が重要になります。必要なアイテムを確認しておきましょう。
シューズ選び
ウルトラマラソンでは長時間走り続けるため、クッション性が高く、足への負担が少ないシューズを選ぶことが大切です。レース用の薄底シューズよりも、クッション性を重視したモデルがおすすめです。
長時間履き続けるウルトラマラソン用のシューズをじっくり選びたいなら、アメリカ発のランニングシューズブランド「BROOKS(ブルックス)」も選択肢になります。ゴースト・グリセリン・アドレナリンGTSなどのシリーズがあり、モデルによってはD(標準)・2E(幅広)・4E(超ワイド)のウィズ展開もあります。公式オンラインショップは10,000円(税込)以上で送料無料です。詳しくは公式サイトで確認できます。

補給食と水分
エイド間の距離が長い区間では、自分で補給食を持って走る必要があります。ジェル類に加えて、おにぎりやバナナなどの固形物も用意しておくと、胃腸への負担を分散できます。
ウエストポーチやベスト型ザック
補給食やスマートフォンなどを携帯するために、ランニング用のウエストポーチやベスト型ザックが必要です。長時間の使用でも揺れにくいものを選びましょう。
着替えやテーピング
途中のドロップバッグ(荷物預かり)が利用できる大会では、着替えやテーピング、ワセリンなどを預けておくと快適に走り続けられます(参考:アルペン 100キロマラソン完走ガイド)。


レース当日の完走戦略
ウルトラマラソンでは「完走すること」が最大の目標です。以下の戦略を参考にしてみてください。
前半は抑えて後半に余力を残す
最も大切なのは前半のペース配分です。気持ちがはやって前半から飛ばすと、後半で大きく失速して完走が危うくなります。最初の20〜30kmはウォーミングアップのつもりで走りましょう。
エイドでは無理せず休む
エイドでしっかり補給を取り、必要ならストレッチや着替えを行います。エイドで使った数分間は、後半の失速防止に大きく貢献します。
メンタル面の対策
ウルトラマラソンでは、体の疲労だけでなくメンタル面の消耗も大きいです。「つらいのは一時的」「50kmまで行けば半分」など、自分を励ますフレーズをあらかじめ用意しておくと、つらい場面を乗り越えやすくなります。
よくある質問(Q&A)
Q. フルマラソンのタイムはどれくらいあればウルトラに挑戦できますか?
明確な基準はありませんが、フルマラソンを5時間以内で完走できる走力があれば、50〜60kmのウルトラマラソンに挑戦する準備は整っていると言えます。100kmに挑戦する場合は、フルマラソンを4時間30分以内で走れる力があると安心です。
Q. ウルトラマラソンの完走率はどれくらいですか?
完走率は大会のコースや制限時間、当日の気温によって大きく変わります。たとえばサロマ湖100kmウルトラマラソン(制限時間13時間)では、2026年の完走率が77.2%、前年は58.4%でした(参考:RUNNET 第41回サロマ湖100kmウルトラマラソン大会レポート)。エントリー前に各大会の過去の結果を確認し、しっかり準備して臨みましょう。
Q. 練習期間はどれくらい必要ですか?
フルマラソンの走力がある方で、100kmに初挑戦する場合は最低でも4〜6ヶ月の準備期間を確保するのがおすすめです。50〜60kmなら3ヶ月程度の準備で挑戦できます。
ウルトラマラソンの栄養戦略
レース前のカーボローディング
100kmウルトラマラソンでは膨大なエネルギーを消費するため、レース3日前から炭水化物を多めに摂取するカーボローディングが有効です。ご飯、パスタ、うどんなどを中心にした食事で、体内のグリコーゲンを蓄えましょう。
レース中の補給は「固形物+ジェル」の組み合わせ
ウルトラマラソンではフルマラソンのようにジェルだけで乗り切るのは困難です。おにぎり、バナナ、あんぱんなどの固形物をエイドでしっかり食べることが完走のカギになります。胃腸のトラブルを防ぐために、練習から固形物を食べながら走ることに慣れておきましょう。
電解質の補給も忘れずに
長時間の発汗でナトリウムやカリウムなどの電解質が失われると、足つりや体調不良の原因になります。電解質タブレットや塩飴を携帯しておくと安心です。
Q. ウルトラマラソン中にトイレは大丈夫ですか?
多くの大会では5〜10kmごとにエイドステーションがあり、仮設トイレが設置されています。トイレ休憩も含めたペース配分を事前に計画しておくと慌てずに済みます。
Q. ウルトラマラソンの費用はどれくらいかかりますか?
エントリー費は大会によって異なりますが、100kmで15,000〜20,000円程度が一般的です。これに交通費、宿泊費、装備代が加わります。初めての場合はシューズや補給食など、準備に2〜3万円程度見ておくと安心です。
まとめ
ウルトラマラソンは、フルマラソンとは違った達成感が味わえる魅力的なチャレンジです。初心者は50〜60kmの大会や時間走から始めて、ロング走と歩きの練習を重ねることで、着実に完走力をつけていけます。
無理のないペースで準備を進めて、ウルトラマラソンの世界に足を踏み入れてみてください。ゴールした瞬間の感動は、何物にも代えがたい経験になるはずです。
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