マラソンやランニング中に突然足がつって、立ち止まらざるを得なかった経験はないでしょうか。せっかく練習を積んできたのに、レース本番でふくらはぎや太ももがピクピクと痙攣し始めると、本当に焦るものです。
この記事では、マラソンで足がつる原因として考えられていることを解説し、レース前・レース中・レース後にできる具体的な対策を紹介します。足つりに悩むランナーはぜひ最後まで読んで、次のレースに備えてください。

マラソンで足がつるメカニズムとは
マラソン中に足がつる現象は、医学的には「運動関連筋痙攣(EAMC)」と呼ばれています。ふくらはぎ(腓腹筋)が最も多く、次いで太もも前面(大腿四頭筋)やハムストリングスに起こりやすいです。
足つりの発生メカニズムには、現在大きく分けて2つの有力な説があります。それぞれ見ていきましょう。
電解質バランスの乱れ(脱水・ミネラル不足説)
長時間の運動で大量の汗をかくと、水分と一緒にナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムといったミネラル(電解質)が体外に排出されます。これらのミネラルは筋肉の収縮と弛緩をコントロールする役割を担っており、バランスが崩れると筋肉が正常に機能しなくなります。
ただし、ミネラル不足と足つりの関係については、まだはっきりしていない部分もあります。汗の量が増える夏場のレースやフルマラソンの後半に備えて、水分とミネラルの補給を意識しておくと安心です。
神経筋疲労説(脳由来説)
近年注目されているのが、筋疲労による神経系の機能不全が原因とする説です。長時間のランニングで筋肉が疲労すると、筋肉の収縮・弛緩を司る「筋紡錘」と「ゴルジ腱器官」のバランスが崩れます。その結果、筋肉に「収縮し続けろ」という信号が出っぱなしになり、痙攣が起こるというものです。
この説では、練習不足のまま長距離レースに臨んだり、自分の走力以上のペースで飛ばしたりすると足つりのリスクが高まることが説明できます。
足がつりやすい人の特徴
マラソンで足がつる原因は複合的ですが、以下のような条件に当てはまるランナーはリスクが高い傾向があります。
- 練習量が不十分なまま大会に出場している
- 自分の走力以上のペースでレースを走っている
- 給水をあまり取らない、または水だけを飲んでいる
- 普段の食事でミネラル摂取が不足している
- 気温や湿度が高い環境で走っている
- ウォーミングアップやストレッチが不十分
- 過去のレースで足つりの経験がある

レース前にできる足つり予防策
十分な走り込みで筋持久力を高める
足つりの根本的な予防は、レースに耐えられる筋持久力を事前に養っておくことです。フルマラソンなら月間走行距離の目安として150km以上、30km走を少なくとも1〜2回はレース前に経験しておきたいところです。LSD(ロング・スロー・ディスタンス)で長い時間足を動かし続ける練習も効果的です。
ミネラルを意識した食事を心がける
レースの1〜2週間前から、ミネラル豊富な食材を意識的に取り入れましょう。特に重要なのは以下の栄養素です。
- マグネシウム:海藻類、ナッツ類、大豆製品、ほうれん草など
- カリウム:バナナ、アボカド、さつまいも、トマトなど
- カルシウム:乳製品、小魚、小松菜など
- ナトリウム:味噌汁、梅干しなど(汗で多く失われるため)
レース前日・当日の水分補給
前日から十分な水分を摂取しておくことが大切です。ただし一気に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ飲むのが効果的です。当日の朝は、スタートの4時間ほど前から、体重1kgあたり5〜7ml(体重60kgなら300〜420ml)程度の水分をゆっくり摂取するのが目安とされています(参考:アメリカスポーツ医学会(ACSM)ポジションスタンド「Exercise and Fluid Replacement」(2007))。
レース中の足つり対策
序盤から計画的に給水する
喉の渇きを感じてから給水するのでは遅いです。レース序盤から全ての給水所で少量ずつ水分を補給する習慣をつけましょう。このとき、水だけでなくスポーツドリンクも活用してミネラルを同時に補給することが重要です。
水だけを飲み続けると、体内のナトリウム濃度が薄まる「低ナトリウム血症」のリスクもあるため注意が必要です。
オーバーペースを避ける
序盤の元気なうちに飛ばしてしまうのは、足つりのリスク要因の一つです。自分の目標タイムに合ったペースを事前に設定し、特に前半は抑え気味に走ることを心がけましょう。GPSウォッチでペースを確認しながら走ると安心です。
ペース確認に使う時計やランニング用のソックスなど、レースに向けた道具をまとめて見比べたいなら、ヒマラヤオンラインストアも選択肢になります。株式会社ヒマラヤのオンラインストアで、ランニングシューズやウェアのほか、ソックス・グローブ・時計・インソールなどのアクセサリーを扱っています。送料は税込550円、合計税込5,500円以上で無料(一部大型商品・離島などは別)で、全国のヒマラヤ店舗での受け取りもできます。詳しくは公式サイトで確認できます。

補給食でエネルギーとミネラルを補う
エネルギージェルや塩タブレット、エイドステーションのバナナなどを活用して、走りながらエネルギーとミネラルを補給しましょう。
練習で試していない補給食をレース本番でいきなり使うのはNGです。胃腸トラブルの原因になるため、事前のロング走で試しておきましょう。
レース中に足がつってしまったときの応急処置
対策をしていても足がつってしまうことはあります。そんなときの対処法を覚えておきましょう。
まずは立ち止まってストレッチ
足がつったら無理に走り続けず、安全な場所で立ち止まりましょう。ふくらはぎがつった場合は、つま先を手前に引き上げるようにしてアキレス腱を伸ばすストレッチが効果的です。太ももの前面がつった場合は、足首を持って膝を曲げ、太もも前面を伸ばしましょう。
ゆっくりマッサージする
ストレッチと併せて、つった部分をやさしくマッサージすることで血行を促進し、痙攣が収まりやすくなります。強く揉むのは逆効果なので、あくまで軽い力でさすったり揉んだりしましょう。
水分・ミネラルを補給する
足がつった原因がミネラル不足の可能性もあるため、スポーツドリンクや塩タブレットを摂取しましょう。近くのエイドステーションまで歩いて移動し、落ち着いてから給水するのも良いでしょう。


足つり予防に効果的なトレーニング
カーフレイズ(ふくらはぎ強化)
階段や段差の端につま先を乗せ、かかとを上げ下げする運動です。20回×3セットを週に3回程度行うことで、ふくらはぎの筋力と持久力を向上させ、レース後半での足つりリスクを軽減できます。
スクワット(大腿四頭筋・ハムストリングス強化)
太もも全体の筋力を高めるスクワットは、マラソンにおける下半身のスタミナアップに直結します。自重スクワットなら15〜20回×3セットを週に2〜3回取り入れましょう。
坂道走・階段ダッシュ
坂道や階段を使ったトレーニングは、平坦なコースでは鍛えにくい筋肉を刺激できます。特にふくらはぎと太もも裏の筋持久力向上に効果的で、足つり予防にもつながります。
足つり対策グッズの活用
トレーニングや食事改善に加えて、グッズを活用するのも有効な手段です。
コンプレッションタイツ・ソックス
筋肉の無駄な揺れを抑えるコンプレッションウェアは、筋疲労の軽減に役立ちます。特にふくらはぎ用のコンプレッションソックスやゲイターは、足つり対策の選択肢のひとつです。
塩タブレット・ミネラルサプリメント
レース中に携帯しやすい塩タブレットは、ミネラル補給に手軽で便利です。マグネシウムやカリウムを含むタブレットを5〜10kmごとに1粒摂取するという方法もあります。
芍薬甘草湯
足つりの応急処置として、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を携帯するランナーもいます。こむらがえりに用いられる漢方薬として知られていますが、使用に際しては事前に医師や薬剤師に相談しておくのが望ましいです。
よくある質問(Q&A)
Q. 足つりは練習中にも起こりますか?
練習中でも起こります。特にロング走やペース走で追い込んだ場合、レース同様に電解質不足や筋疲労が蓄積して足がつることがあります。練習中に足がつる場合は、本番でもリスクが高いサインなので、水分・ミネラル補給の見直しや、走力に見合ったペース設定を意識しましょう。
Q. バナナは足つり予防に役立ちますか?
バナナはカリウムが豊富に含まれており、電解質バランスの維持に役立つ食材です。レース前の朝食やエイドステーションでのバナナ摂取は、手軽なミネラル補給として有効といえます。ただし、バナナだけで足つりを完全に防げるわけではなく、マグネシウムやナトリウムなど他のミネラルもバランスよく摂取することが大切です。
Q. 足がつった後、レースを続けてもいいですか?
軽い足つりであれば、ストレッチとマッサージで回復した後にペースを落として再スタートすることは可能です。ただし、何度も繰り返しつる場合や、痛みが強い場合は無理せずリタイアも選択肢に入れましょう。無理に走り続けると肉離れなどの重傷につながるリスクがあります。


まとめ
マラソンで足がつる原因は、電解質バランスの乱れと筋疲労の2つが大きく関わっています。対策としては、十分な走り込みによる筋持久力の向上、ミネラルを意識した食事、レース中のこまめな給水と補給が三本柱です。
コンプレッションウェアや塩タブレットといったグッズの活用も有効で、複数の対策を組み合わせることが足つり対策につながります。レース本番で実力を発揮するために、今日から足つり対策を始めてみてください。
参考サイト:RUNNET「フルマラソンの脚攣り問題、解決します」、UP RUN「足がつる原因と予防方法」、アスリション「運動中に足がつる原因と対策」
⭐おすすめ記事
ランニングシューズをブランドをまたいで比べたい方は、スーパースポーツゼビオの公式オンラインストアの買い方をまとめたこちらの記事もどうぞ。






