マラソン大会が近づくと「テーパリング」という言葉をよく耳にします。レース前に練習量を計画的に落として、本番でベストパフォーマンスを発揮するための調整法です。
この記事では、マラソンにおけるテーパリングの正しいやり方、適切な期間の設定方法、そしてよくある失敗パターンについて解説します。レース本番で力を出し切るために、テーパリングの知識を身につけましょう。

テーパリングとは
テーパリングとは、レース本番に向けてトレーニングの量を段階的に減らし、体の疲労を抜きつつ走力を維持する調整法です。研究のまとめによると、テーパリングによってパフォーマンスはおよそ3%(多くは0.5〜6%の範囲)向上すると報告されています(参考:Mujika I, Padilla S(2003)Scientific bases for precompetition tapering strategies)。
ただし単に練習を休むだけではなく、「何をどのくらい減らすか」の加減が重要なポイントです。
テーパリングの適切な期間
フルマラソンの場合
フルマラソンでは2〜3週間のテーパリング期間が一般的です。走力レベルによって微調整が必要で、以下が目安となります。
- 初心者(サブ5〜完走目標):3週間前からテーパリング開始
- 中級者(サブ4〜サブ3.5):2〜3週間前からテーパリング開始
- 上級者(サブ3以上):2週間前からテーパリング開始
ハーフマラソンの場合
ハーフマラソンの場合は、10日〜2週間程度のテーパリング期間が適切です。フルマラソンほど長期間の調整は必要ありません。
テーパリングの具体的なやり方
練習量(走行距離)を段階的に減らす
テーパリングの基本は、練習量を段階的に減らしていくことです。27件の研究をまとめた分析では、約2週間かけて練習量を41〜60%ほど減らし、強度と頻度は変えない方法が最も効果的だったと報告されています(参考:Bosquet L ほか(2007)Effects of tapering on performance: a meta-analysis)。以下は3週間かけて減らす場合の一例です。
- 3週間前:通常の練習量から20〜30%減(ラスト30km走もこの週に)
- 2週間前:通常の練習量から40〜50%減
- レース週(1週間前):通常の練習量から60〜70%減
「通常の練習量から何%減らすか」を感覚でやると、減らしたつもりで減っていないことがよくあります。週間の走行距離が自動で残るGPSウォッチがあると、減らし方を数字で確認しながら調整できます。
練習強度(ペース)は維持する
テーパリングで減らすのは「量」であって「質」ではありません。インターバル走やペース走の距離は短くしますが、ペース設定は普段どおりに行うことが大切です。例えば、通常10km走るペース走なら6〜7kmに短縮しますが、1kmあたりのペースは変えません。
練習強度まで落としてしまうと、体がレースペースを忘れてしまい、本番でうまくペースに乗れないリスクがあります。
頻度は大きく変えない
走る頻度(週に何回走るか)は大きく変えないのがベターです。走行距離を減らしつつも、走る回数は維持することで、ランニングのリズムやフォームの感覚を保つことができます。

テーパリング期間の週間スケジュール例(サブ4ランナー)
3週間前(走行距離:通常の70〜80%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ8km
- 水曜:ペース走6km(レースペース)
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ6km
- 土曜:30km走またはロング走20km
- 日曜:休養またはウォーキング
2週間前(走行距離:通常の50〜60%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ6km
- 水曜:インターバル走(1km×3本)
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ5km
- 土曜:ペース走5km
- 日曜:休養
レース週(走行距離:通常の30〜40%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ4km + 流し3本
- 水曜:ジョグ3km
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ2km + 流し2本
- 土曜:完全休養(前日)
- 日曜:レース本番
テーパリング中のよくある失敗パターン
不安になって練習しすぎる
テーパリング中に最もよくある失敗が、「走らないと不安」という気持ちから練習を追加してしまうことです。練習量を減らしたことで体が軽く感じ、「もっと走れるのでは」と思ってしまいますが、ここで追い込むとレース当日に疲労が残ります。
テーパリング期間が短すぎる
レース直前の1〜2日だけ練習を控える程度では、十分な疲労回復は期待できません。フルマラソンなら最低でも2週間のテーパリング期間を設けましょう。
テーパリング期間が長すぎる
逆に1カ月以上もテーパリングを行うと、トレーニングで鍛えた持久力や走力が低下してしまいます。体力の衰えを感じる前にレース当日を迎えるのが理想です。
テーパリング中の生活面での注意点
睡眠をしっかり確保する
テーパリング期間は体の回復期間でもあります。7〜8時間の睡眠を確保し、質の高い休息を取ることで、レース当日にベストコンディションで臨めます。
この時期の「休んでいる時間」の過ごし方を整えたい方には、就寝時や自宅で着るリカバリーウェアを取り入れるという選択肢もあります。着心地の好みが分かれるので、レース直前ではなく普段から着慣らしておくとよいでしょう。
練習量を落として睡眠時間を確保しやすいこの時期に、寝具も見直したいと考えているなら、NELLマットレスという選択肢もあります。株式会社Morghtのポケットコイルマットレスで、腰の部分を硬めにしたセンターハード構造・両面仕様です。価格は79,900円(シングル)〜154,900円(キング)、税込で、到着から14日以上120日以内なら返品・全額返金できる120日間のトライアルがあります。詳しくは公式サイトで確認できます。

食事はカーボローディングと併用
テーパリング後半(レース3日前〜)はカーボローディングと組み合わせるのが効果的です。練習量が減って消費カロリーが落ちる分、炭水化物の比率を高めてグリコーゲンを蓄積します。
体重の微増は気にしない
テーパリングとカーボローディングの影響で1〜2kg体重が増えることがありますが、これは水分とグリコーゲンの蓄積によるものなので問題ありません。レース中にエネルギーとして活用されます。


よくある質問(Q&A)
Q. テーパリング中に筋トレはしてもいいですか?
レース2週間前までなら軽い筋トレ(自重スクワットや体幹トレーニングなど)は問題ありません。ただし、レース1週間前からは筋肉痛が残らないよう、筋トレの強度と量を大幅に落とすか、完全に休止するのが無難です。
Q. テーパリング中にジョグ以外の運動はOKですか?
軽いストレッチやヨガ、ウォーキングなどはリカバリーとして有効です。ただし、サッカーやバスケなど関節への衝撃が大きいスポーツは故障リスクがあるため、レース前は控えた方が良いでしょう。
走る量が減る分、自宅でのセルフケアに時間を回しやすい時期でもあります。ふくらはぎや太ももをほぐす道具として、フォームローラーを使っているランナーは多いです。
テーパリングの効果を最大化するための追加ポイント
メンタルの準備も同時に行う
テーパリング期間はメンタルの調整期間でもあります。レースのイメージトレーニングやコースの下見、ペース計画の最終確認など、精神面の準備を整える時間に充てましょう。レース当日の持ち物リストを作成しておくのも有効です。
風邪や体調不良の予防
レース直前に体調を崩すと、それまでの調整が生かせなくなります。手洗い・うがいの徹底、人混みを避けるなど、風邪予防を意識して生活することも大切です。せっかくの調整が体調不良で台無しにならないよう注意しましょう。
Q. テーパリング中に体が重く感じるのは大丈夫ですか?
練習量を減らしたことで体がだるく感じたり、足が重く感じたりすることがあります。これは「テーパリングマジック」の前兆で、レース当日には体が軽くなっていることが多いです。不安になって追加練習するのは逆効果です。
Q. テーパリング中の食事で気をつけることはありますか?
練習量が減る分、消費カロリーも減るため、食事量をやや控えめにするか、カーボローディングと組み合わせて糖質の比率を高めるのが良いでしょう。揚げ物や脂っこい食事は避け、消化の良い食事を心がけましょう。
Q. 大会が中止になった場合、テーパリングはどうすべきですか?
テーパリングは練習の強度を保ったまま量を減らす調整なので、慌てる必要はありません。次のレースに向けて練習を再開し、改めてテーパリングのスケジュールを組み直しましょう。
まとめ
テーパリングは、マラソンのレース本番で力を発揮するための科学的な調整法です。フルマラソンなら2〜3週間前から練習量を段階的に減らし、練習強度は維持することで、疲労を抜きながら走力をキープできます。
「量を減らす、ペースは守る、頻度はキープ」の3原則を意識し、テーパリングの恩恵を最大限に受けましょう。しっかり調整して万全の状態でスタートラインに立つことが、自己ベスト更新への近道です。
参考サイト:アルペン「テーパリングとは」、シュウイチランニング「テーパリング方法を徹底解説」、シロイシマラソンスクール「テーパリングとは何か」
⭐おすすめ記事
ランニングシューズをブランドをまたいで比べたい方は、スーパースポーツゼビオの公式オンラインストアの買い方をまとめたこちらの記事もどうぞ。






