マラソン大会が近づくと「テーパリング」という言葉をよく耳にする。レース前に練習量を計画的に落として、本番でベストパフォーマンスを発揮するための調整法だ。
この記事では、マラソンにおけるテーパリングの正しいやり方、適切な期間の設定方法、そしてよくある失敗パターンについて解説する。レース本番で力を出し切るために、テーパリングの知識を身につけよう。

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テーパリングとは
テーパリングとは、レース本番に向けてトレーニングの量を段階的に減らし、体の疲労を抜きつつ走力を維持する調整法だ。研究によると、適切なテーパリングを行うことでパフォーマンスが2〜6%程度向上するとされている。フルマラソンで4時間のランナーなら、5〜14分もの差につながる可能性がある。
ただし単に練習を休むだけではなく、「何をどのくらい減らすか」の加減が重要なポイントだ。
テーパリングの適切な期間
フルマラソンの場合
フルマラソンでは2〜3週間のテーパリング期間が一般的だ。走力レベルによって微調整が必要で、以下が目安となる。
- 初心者(サブ5〜完走目標):3週間前からテーパリング開始
- 中級者(サブ4〜サブ3.5):2〜3週間前からテーパリング開始
- 上級者(サブ3以上):2週間前からテーパリング開始
ハーフマラソンの場合
ハーフマラソンの場合は、10日〜2週間程度のテーパリング期間が適切だ。フルマラソンほど長期間の調整は必要ない。
テーパリングの具体的なやり方
練習量(走行距離)を段階的に減らす
テーパリングの基本は、練習量を段階的に20〜30%ずつ減らしていくことだ。3週間テーパリングの場合の目安は以下のとおりだ。
- 3週間前:通常の練習量から20〜30%減(ラスト30km走もこの週に)
- 2週間前:通常の練習量から40〜50%減
- レース週(1週間前):通常の練習量から60〜70%減
「通常の練習量から何%減らすか」を感覚でやると、減らしたつもりで減っていないことがよくある。週間の走行距離が自動で残るGPSウォッチがあると、減らし方を数字で確認しながら調整できる。
練習強度(ペース)は維持する
テーパリングで減らすのは「量」であって「質」ではない。インターバル走やペース走の距離は短くするが、ペース設定は普段どおりに行うことが大切だ。例えば、通常10km走るペース走なら6〜7kmに短縮するが、1kmあたりのペースは変えない。
練習強度まで落としてしまうと、体がレースペースを忘れてしまい、本番でうまくペースに乗れないリスクがある。
頻度は大きく変えない
走る頻度(週に何回走るか)は大きく変えないのがベターだ。走行距離を減らしつつも、走る回数は維持することで、ランニングのリズムやフォームの感覚を保つことができる。


テーパリング期間の週間スケジュール例(サブ4ランナー)
3週間前(走行距離:通常の70〜80%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ8km
- 水曜:ペース走6km(レースペース)
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ6km
- 土曜:30km走またはロング走20km
- 日曜:休養またはウォーキング
2週間前(走行距離:通常の50〜60%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ6km
- 水曜:インターバル走(1km×3本)
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ5km
- 土曜:ペース走5km
- 日曜:休養
レース週(走行距離:通常の30〜40%)
- 月曜:休養
- 火曜:ジョグ4km + 流し3本
- 水曜:ジョグ3km
- 木曜:休養
- 金曜:ジョグ2km + 流し2本
- 土曜:完全休養(前日)
- 日曜:レース本番
テーパリング中のよくある失敗パターン
不安になって練習しすぎる
テーパリング中に最もよくある失敗が、「走らないと不安」という気持ちから練習を追加してしまうことだ。練習量を減らしたことで体が軽く感じ、「もっと走れるのでは」と思ってしまうが、ここで追い込むとレース当日に疲労が残る。
テーパリング期間が短すぎる
レース直前の1〜2日だけ練習を控える程度では、十分な疲労回復は期待できない。フルマラソンなら最低でも2週間のテーパリング期間を設けよう。
テーパリング期間が長すぎる
逆に1カ月以上もテーパリングを行うと、トレーニングで鍛えた持久力や走力が低下してしまう。体力の衰えを感じる前にレース当日を迎えるのが理想だ。
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テーパリング中の生活面での注意点
睡眠をしっかり確保する
テーパリング期間は体の回復期間でもある。7〜8時間の睡眠を確保し、質の高い休息を取ることで、レース当日にベストコンディションで臨める。
この時期の「休んでいる時間」の過ごし方を整えたい人には、就寝時や自宅で着るリカバリーウェアを取り入れるという選択肢もある。着心地の好みが分かれるので、レース直前ではなく普段から着慣らしておきたい。
食事はカーボローディングと併用
テーパリング後半(レース3日前〜)はカーボローディングと組み合わせるのが効果的だ。練習量が減って消費カロリーが落ちる分、炭水化物の比率を高めてグリコーゲンを蓄積する。
体重の微増は気にしない
テーパリングとカーボローディングの影響で1〜2kg体重が増えることがあるが、これは水分とグリコーゲンの蓄積によるものなので問題ない。レース中にエネルギーとして活用される。


よくある質問(Q&A)
Q. テーパリング中に筋トレはしてもいいですか?
レース2週間前までなら軽い筋トレ(自重スクワットや体幹トレーニングなど)は問題ない。ただし、レース1週間前からは筋肉痛が残らないよう、筋トレの強度と量を大幅に落とすか、完全に休止するのが無難だ。
Q. テーパリング中にジョグ以外の運動はOKですか?
軽いストレッチやヨガ、ウォーキングなどはリカバリーとして有効だ。ただし、サッカーやバスケなど関節への衝撃が大きいスポーツは故障リスクがあるため、レース前は控えた方が良い。
走る量が減る分、自宅でのセルフケアに時間を回しやすい時期でもある。ふくらはぎや太ももをほぐす道具として、フォームローラーを使っているランナーは多い。
テーパリングの効果を最大化するための追加ポイント
メンタルの準備も同時に行う
テーパリング期間はメンタルの調整期間でもある。レースのイメージトレーニングやコースの下見、ペース計画の最終確認など、精神面の準備を整える時間に充てよう。レース当日の持ち物リストを作成しておくのも有効だ。
風邪や体調不良の予防
テーパリング中は練習量が減り、免疫機能が一時的に低下することがある。手洗い・うがいの徹底、人混みを避けるなど、風邪予防を意識して生活することも大切だ。せっかくの調整が体調不良で台無しにならないよう注意しよう。
Q. テーパリング中に体が重く感じるのは大丈夫ですか?
練習量を減らしたことで体がだるく感じたり、足が重く感じたりすることがある。これは「テーパリングマジック」の前兆で、レース当日には体が軽くなっていることが多い。不安になって追加練習するのは逆効果だ。
Q. テーパリング中の食事で気をつけることはありますか?
練習量が減る分、消費カロリーも減るため、食事量をやや控えめにするか、カーボローディングと組み合わせて糖質の比率を高めるのが良い。揚げ物や脂っこい食事は避け、消化の良い食事を心がけよう。
Q. 大会が中止になった場合、テーパリングはどうすべきですか?
テーパリングで落ちた体力は1〜2週間の通常練習で取り戻せるため、大きな問題にはならない。次のレースに向けて練習を再開し、改めてテーパリングのスケジュールを組み直そう。
まとめ
テーパリングは、マラソンのレース本番で力を発揮するための科学的な調整法だ。フルマラソンなら2〜3週間前から練習量を段階的に減らし、練習強度は維持することで、疲労を抜きながら走力をキープできる。
「量を減らす、ペースは守る、頻度はキープ」の3原則を意識し、テーパリングの恩恵を最大限に受けよう。しっかり調整して万全の状態でスタートラインに立つことが、自己ベスト更新への近道だ。
参考サイト:アルペン「テーパリングとは」、シュウイチランニング「テーパリング方法を徹底解説」、シロイシマラソンスクール「テーパリングとは何か」
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