マラソンは走力だけでなく、レース戦略が結果を大きく左右するスポーツです。同じ実力のランナーでも、ペース配分や補給計画の差でゴールタイムに大きな差がつくことは珍しくありません。
この記事では、マラソンのレース戦略の立て方を、ペース配分・補給計画・コース攻略の3つの柱から解説します。レース前に読んで、自分だけの作戦を練ってみてください。

レース戦略の第一歩:自分の走力を把握する
レース戦略の土台となるのは、自分の走力の正確な把握です。目標タイムを高く設定しすぎると前半で突っ込みすぎて後半に崩れ、低すぎると実力を出し切れません。
直近の練習記録からペースを算出する
30km走やペース走の記録から、フルマラソンの目標ペースを割り出しましょう。練習でどのくらいのペースなら余裕を持って走り切れたかが、無理のない目標ペースを考える手がかりになります。
VDOT計算ツールを活用する
ジャック・ダニエルズ博士が考案した「VDOT」という指標を使えば、直近のレース結果(5km・10km・ハーフマラソンなど)からフルマラソンの予想タイムを算出できます。オンラインの無料計算ツールも公開されています(参考:VDOT O2 Running Calculator)。
3つのペース配分戦略
イーブンペース(均等ペース)
最も安定して結果を出しやすいのがイーブンペースです。スタートからゴールまで同じペースで走る方法で、エネルギーの消費が均一になるため、大崩れしにくいメリットがあります。
目標タイム4時間なら、1kmあたり5分41秒のペースを42.195km維持するイメージです。
この「同じペースを刻み続ける」を体感だけでやるのは難しいものです。1kmごとのラップが自動で出るGPSウォッチがあると、ズレたときに自分で気づいて修正できます。
ネガティブスプリット(後半加速型)
前半を目標ペースよりやや遅めに入り、後半にペースを上げる走り方です。
前半をゆとりを持って走れるため、30kmの壁にぶつかりにくく、精神的にも「後半で巻き返せる」という安心感があります。
ポジティブスプリット(前半先行型)
前半を速いペースで走り、後半はペースが落ちることを前提とした走り方です。市民ランナーの多くが意図せずこの形になることが多いです。後半の失速幅が大きいと大幅なタイムロスにつながるため、計画的にコントロールする必要があります。
初心者〜中級者にはイーブンペース、中級者〜上級者にはネガティブスプリットがおすすめです。ポジティブスプリットは計画的に行うなら有効ですが、初心者には難しいでしょう。
区間別のペース戦略
スタート〜5km:ウォーミングアップ区間
スタート直後は混雑もあり、体もまだ温まっていません。目標ペースの+10〜15秒/kmで入り、無理に飛ばさないことが大切です。周りのランナーにつられてオーバーペースにならないよう注意しましょう。
5km〜20km:巡航区間
体が温まってきたら、目標ペースに乗せていきます。この区間は「気持ちよく走れる」ペースが理想で、頑張っている感覚がある場合はやや速すぎるサインです。
20km〜30km:忍耐区間
マラソンのレースが本格的に始まるのはここからです。疲労が出始めますが、ペースを維持するために集中力が必要な区間です。この区間でペースを落とさないことが、好タイムの鍵を握ります。
30km〜ゴール:勝負区間
30kmの壁が待ち受ける最終区間です。ここまでのペースを守れていれば、残りの12kmを粘り切ることでゴールタイムが大きく変わります。「次の1kmだけ」という短期目標で集中力を保ちましょう。
この区間まで持たせるために、エネルギージェルを何個どこで摂るかまで決めておきましょう。味や粘度は製品ごとに違うので、練習で試した銘柄を本番用に用意しておくと安心です。

補給計画の立て方
給水のタイミング
全ての給水所で少量ずつ水分を補給するのが基本です。喉の渇きを感じる前に飲むことで、脱水を防ぎパフォーマンスを維持できます。水とスポーツドリンクを交互に摂取するのも有効です。
エネルギー補給のタイミング
エネルギージェルは10〜15kmごとに1個摂取するのが目安です。フルマラソンなら3〜4個のジェルを携帯し、15km・25km・35km地点あたりで摂取する計画を立てておきましょう。
補給計画表を作成する
レース前にコースマップを見ながら、何km地点で何を補給するかを書き出した「補給計画表」を作成しておくと、レース中に判断に迷わずに済みます。計画をGPSウォッチにメモしておくのも便利です。
計画どおりに補給するには、ジェルを取り出しやすい場所に入れておくことも大事です。揺れの少ないランニングポーチなら、3〜4個のジェルをまとめて携行できます。
ジェルを入れるポーチや、気温に合わせて着脱するアームカバーなど、レース当日の装備をまとめて見比べたいなら、ヒマラヤオンラインストアも選択肢になります。ランニングシューズやウェア、キャップ、バッグ・ポーチ、ソックス・時計などのアクセサリーを扱っています。送料は税込550円、合計税込5,500円以上で無料(一部大型商品・離島などは別)で、全国のヒマラヤ店舗での受け取りもできます。詳しくは公式サイトで確認できます。

コース攻略のポイント
高低差を事前に確認する
コースの高低図は大会の公式サイトで公開されていることが多いです。坂が多いコースでは登りでペースが落ちることを計算に入れ、下りで取り戻すプランを立てましょう。
風向きを考慮する
海沿いや河川敷のコースでは風の影響が大きくなります。向かい風の区間では無理にペースを維持せず、追い風の区間で取り戻す戦略が有効です。
レース当日のメンタル戦略
前半のオーバーペースを冷静に抑える
レース当日はアドレナリンが出て体が軽く感じます。しかし、前半に作った「貯金」は後半の大きなロスにつながりやすく、前半のオーバーペースは危険です。GPSウォッチでラップを確認しながら、冷静にペースコントロールしましょう。
ネガティブな思考を切り替える
後半に疲れてくると「もうダメかも」「足が動かない」とネガティブな思考に陥りがちです。そんなときは、沿道の応援に感謝したり、ゴール後の達成感をイメージしたりして、気持ちを切り替えましょう。


天候・気温別のレース戦略調整
暑い日のレース
気温が高い日はペース設定を遅めに修正するのが賢明です。暑さの中で無理にペースを維持しようとすると、脱水や熱中症のリスクが高まります。給水もふだんより意識してこまめに取りましょう。
雨の日のレース
雨のレースでは路面が滑りやすくなるため、コーナーや下り坂でのペースダウンが必要です。体が冷えやすいのでウインドブレーカーやアームカバーの準備も検討しましょう。ただし、気温が高い日の雨は体温上昇を抑えるメリットもあります。
アームカバーは走りながら着脱できて、暑くなったら手首までずらしておけます。気温が読みにくい時期のレースでは、1組バッグに入れておくと調整の幅が広がります。
向かい風が強い日のレース
向かい風の区間では他のランナーの後ろについて風の抵抗を軽減する「ドラフティング」が有効です。同じペースのランナーを見つけて、その後ろに位置取りしましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. レース中にペースが落ちてきたらどうすべきですか?
まずは給水と補給食を摂取してエネルギーを補充しましょう。そのうえで、ペースを無理に戻そうとせず、現在のペースで走り続けることに集中します。「次の給水所まで」「次の1kmだけ」と短い目標を設定するのが効果的です。
Q. GPSウォッチがなくてもペース管理はできますか?
5kmごとのラップタイムを手動で計測する方法があります。コース上の距離表示を確認し、通過タイムを記録して1kmあたりのペースを割り出しましょう。事前にペース配分表を作成して腕に貼っておくのも便利です。
Q. 初マラソンではどのペース戦略がおすすめですか?
初マラソンではイーブンペースを基本に、最初の5kmはゆっくりめに入ることを強くおすすめします。完走が一番の目標なので、前半を抑えて後半に余力を残す走り方を心がけましょう。
まとめ
マラソンのレース戦略は、自分の走力把握、ペース配分、補給計画、コース攻略の4つの要素で構成されます。初心者にはイーブンペース、中上級者にはネガティブスプリットが効果的で、いずれも前半を冷静に走ることが成功の鍵です。
レース前にしっかり戦略を練り、本番ではGPSウォッチでペースを確認しながら計画どおりに走ることで、自分の実力を最大限に発揮できるでしょう。
参考サイト:ミズノ「失敗しないマラソンのペース設定」、グリコ「マラソンの適切なペース配分」、BOOSTランニング「タイプ別ペース配分」
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