「ランニングのタイムが伸びない」「後半になるとフォームが崩れてしまう」こうした悩みを抱えるランナーは少なくありません。その原因の一つが、体幹の弱さにあるかもしれません。
体幹トレーニングはランニングのパフォーマンスを底上げするカギです。学術誌『The Journal of Strength and Conditioning Research』に発表された研究では、コア強化トレーニングを継続することでスピードアップが実証されており、持久力やランニングエコノミー(走行時のエネルギー効率)が高まる可能性も明らかになっています。
この記事では、ランナーにおすすめの体幹トレーニングメニューを具体的なやり方とともに解説します。

なぜランナーに体幹トレーニングが必要なのか
ランニングフォームの安定
体幹は、上半身と下半身をつなぐ「柱」のような役割を果たします。体幹が強いと骨盤が安定し、腕振りと脚の動きが効率よく連動します。体幹が弱いと走っているうちに骨盤が左右にぶれたり、上半身が前傾しすぎたりして、無駄なエネルギーを消費してしまいます。
ケガの予防
体幹の筋力が不足すると、膝や腰に余計な負荷がかかります。腸脛靭帯炎(ランナーズニー)や腰痛の原因になることもあるため、体幹を鍛えることはケガの予防にも直結します。
後半の失速防止
レースの後半で疲れてフォームが崩れるのは、筋力の中でも特に体幹の持久力が影響しています。体幹を鍛えることで、長い距離でもフォームを維持しやすくなり、後半の失速を防ぐことができます。
ランナーにおすすめの体幹トレーニング8選
1. プランク(基本)
体幹トレーニングの王道です。腹筋、背筋、臀筋をまんべんなく鍛えられます。
- うつ伏せの状態から、前腕とつま先で体を支えます
- 頭からかかとまで一直線をキープ
- お尻が上がったり、腰が反ったりしないように注意
- まずは30秒×3セットから始め、慣れたら60秒に延長
プランクは前腕とつま先で体を支えるため、フローリングの上だと肘が痛くなりがちです。1枚敷けるトレーニングマットがあると、その後のメニューにもそのまま移れます。
2. サイドプランク
体の側面を鍛えるトレーニングです。ランニング中の骨盤の横ぶれを抑える効果が期待できます。
横向きに寝た状態から前腕と足の側面で体を持ち上げ、頭から足までまっすぐに保ちます。左右それぞれ20〜30秒×3セットを目安に行いましょう。
3. バードドッグ
四つん這いの姿勢から、対角の手と脚を同時に伸ばすトレーニングです。バランス感覚と体幹の安定性を同時に鍛えることができます。
右手と左脚を同時にまっすぐ伸ばし、3秒キープしてからゆっくり戻します。左右交互に10回×3セットが目安です。
4. デッドバグ
あおむけに寝て、両手を天井に向けて伸ばし、膝を90度に曲げた状態がスタートポジションです。対角の手と脚をゆっくり伸ばし、腰が床から浮かないようにキープします。
腹圧をしっかりかけることがポイントで、腰痛予防にも効果的です。左右交互に10回×3セットを行いましょう。

5. ヒップリフト(グルートブリッジ)
あおむけに寝て膝を立て、お尻を持ち上げるトレーニングです。臀筋とハムストリングスを鍛えながら、体幹の安定性も高めます。
お尻を持ち上げたトップポジションで2〜3秒キープし、ゆっくり下ろします。15回×3セットが目安です。片脚で行うシングルレッグヒップリフトにすると、さらに強度が上がります。
6. マウンテンクライマー
プランクの姿勢から、交互に膝を胸に引きつける動的なトレーニングです。体幹の安定性に加えて、心肺機能も同時に鍛えることができるため、ランナーにぴったりです。
フォームが崩れないスピードで20秒×3セットから始めましょう。慣れてきたら30秒に延長します。
7. ロシアンツイスト
座った状態で上体を少し後ろに倒し、体を左右にひねるトレーニングです。腹斜筋を鍛え、ランニング中の回旋動作の安定性を向上させます。
足を床につけた状態から始め、慣れてきたら足を浮かせて難易度を上げましょう。左右合わせて20回×3セットが目安です。
自重だけで物足りなくなってきたら、軽めのメディシンボールを胸の前で抱えて行う方法もあります。重さは無理のない範囲から選んでください。
8. シングルレッグスクワット
片脚で行うスクワットは、ランニング時の片脚着地に近い動きをトレーニングできます。体幹バランスと下半身の筋力を同時に強化できる種目です。
膝がつま先より前に出すぎないよう注意し、片脚8〜10回×3セットを目標に行いましょう。
体幹トレーニングの取り入れ方と頻度
体幹トレーニングは、ランニングの前後や休養日に週2〜3回取り入れるのが理想です。1回のトレーニング時間は15〜20分程度で十分な効果が期待できます。
- ランニング前:プランクやバードドッグなど、ウォーミングアップとして軽めのメニューを1〜2種目
- ランニング後:ヒップリフトやデッドバグなど、クールダウンを兼ねてじっくり取り組む
- 休養日:8種目すべてを通して行うフルメニュー
体幹トレーニングで注意すべきポイント
- 正しいフォームを優先:回数や時間よりも、正しい姿勢で行うことが大切です
- 呼吸を止めない:息を止めると血圧が上昇するため、自然な呼吸を続けましょう
- 痛みがある場合は中止:腰や関節に痛みを感じたら、無理せず中止してフォームを見直してください
- 段階的に負荷を上げる:初心者は短い時間・少ない回数から始め、徐々にレベルアップしましょう

自宅に大きな鏡がない場合は、立てかけるタイプの姿見を1枚用意しておくとフォームの確認がしやすくなります。
体幹トレーニングの効果を高めるための食事
体幹トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、適切な栄養摂取も大切です。トレーニング後にたんぱく質と炭水化物をバランスよく摂取することで、筋繊維の修復とエネルギーの回復が促進されます。
具体的には、トレーニング後30分以内にプロテインドリンクやバナナなどを摂ると効果的です。日常的な食事では、鶏むね肉・卵・魚・大豆製品などの良質なたんぱく質源を意識して取り入れましょう。水分補給も忘れずに行ってください。
体幹トレーニングで陥りがちな失敗パターン
体幹トレーニングを始めたものの、なかなか効果が出ないという方は、以下の失敗パターンに心当たりがないか確認してみましょう。
- 回数や時間ばかり追ってフォームが崩れている:正しいフォームでの10秒のほうが、崩れたフォームでの60秒よりも効果があります
- 同じメニューばかり続けている:体が刺激に慣れてしまうため、定期的にメニューのバリエーションを変えましょう
- ランニングとの組み合わせを意識していない:体幹トレーニング単体ではなく、ランニングと組み合わせてこそ走りの改善につながります
メニューのバリエーションが尽きてきたら、体幹トレーニングの解説本を1冊持っておくと、種目の入れ替えに困らなくなります。
体幹トレーニングに関するQ&A
Q. 体幹トレーニングの効果はどのくらいで実感できますか?
個人差はありますが、週2〜3回のトレーニングを続けると、4〜6週間程度で体幹の安定性の変化を感じ始める方が多いです。ランニングフォームの改善やレース後半の粘りに違いが出てきます。
Q. ランニング前と後、どちらで行うべきですか?
どちらでも効果はありますが、ランニング前に行う場合は軽めのメニューにとどめましょう。体幹が疲労した状態でランニングを行うと、フォームが崩れてケガのリスクが高まる場合があります。
Q. 腹筋の筋トレだけでは不十分ですか?
腹筋(腹直筋)だけを鍛えるクランチなどは、体幹トレーニングの一部にすぎません。ランニングのパフォーマンス向上には、腹斜筋、背筋、臀筋、股関節周りの筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。

まとめ
体幹トレーニングは、ランニングフォームの安定、ケガの予防、後半の失速防止に直結する重要なトレーニングです。プランク、サイドプランク、バードドッグ、デッドバグなどのメニューを週2〜3回取り入れることで、ランニングのパフォーマンスが着実に向上していきます。
正しいフォームで無理なく続けることが、体幹トレーニングで成果を出すための秘訣です。まずは30秒のプランクから始めて、自分のペースでレベルアップしていきましょう。
参考:ランナー必見!体幹トレーニングの必要性(ProFits) / ランナーに効く12種類の体幹エクササイズ(Nike) / マラソンに欠かせない体幹トレーニング(UP RUN)

